事務所を拓いてから10年を迎えた。前述したように、ここで業務のDX化を計ることにした。これから示すのは、そのDXの過程である。

具体的には、一案件を、知識ある一スタッフがそれぞれ担当するという、従来の縦割り体制から脱却し、一件の案件を分業化し、段階ごとに担当を決めたチームで進めていくことだ。

この分業化の柱となるのが、グループウェアを導入したプロジェクト体制だ。

というのも、分業化することは、一案件を複数で進めることになる。一日に各人が何件も進めるのだから、それぞれが行った作業過程をどこか一つに報告、集約することが必要になる。そこで、仕事の全体像がみえなくなる不安を、グループウエアのプロジェクトで可視化し、解消するという訳だ。

先ずしたことは

業務過程の棚卸しである。

案件を種別化し、受託から引渡完了まで、業務過程を一つひとつ棚卸しし、不要なものは排除し、必要な業務についても方法が適切であるのか確認する。

次は分別

挙げた過程を、「コア」「ノンコア」と分別する。
この、「ノンコア」とは、法律の知識のない方でも出来る仕事ということだ。
パソコン上で行う定型作成書類や単純業務の「ノンコア」、それ以外を「コア」業務と分けるのだ。

士業の事務員は、法律の知識理解がなければと思いこんでいたが、分業してみると、四割近くは「ノンコア」になると気付いた。

例えば
◯申請申告後の製本、発送
◯謄本の用意
◯送付状作成に発送
◯入金、未入金の確認(領収書発送)
◯備品の発注

等などである。

不動産登記であれ、商業登記であれ、申告であれ、備品の発注、書類の発送等は共通作業である。
また、同じ行程を短いスパンで繰り返すことで習得も早まるし、ミスも少なくなる。

案件に紐づけて管理、遂行する方法しか知らなかったが、実際に分業を進めてみると、申請後の発送等に時間を取られることがなくなり、直ぐに次の案件の作成作業に取り組むことができ、書類の収集も、変わりに行ってもらうと、その間の移動時間も書類作成作業に費やせる。

締切が迫っても終わらず、残業せざるを得なかったが、分業化により、全体の帰宅時間は早くなった。
また、何より、ノンコアに従事していた時間を、挑戦してみたい新規業務に充てることが出来るようになったことは大きい。

来春からの相続登記義務化に向けて、相続登記後の申告に力を入れたいと予予願っていたことに、今年は携わることが出来た。来年は更に意欲的に取り組みたいと、士気をたかめている。

DXとは、多様化する市場(顧客)の要望に応えられるよう、体制を変化させ優位性を確立するものと、定義すれば、まさに今の事務所の過程は、士業DXである。

当初、事務所をコンサル?と訝しむ気持ちも正直あったが、コンサルを迎えたことは、視点を変えて「仕事」を、そして自分の価値を見直す契機であった。

コンサルとの打合せを重ねる中、既存に固執する自分に気付かされ、学んだことも多い。

次回は、分業化の作業話、分業作業の可視化ツールについて、述べていきたい。

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