スタッフの山崎です。
肌寒い冬の朝は、この一文が頭をよぎります。
私は歴史文学の中でも、春はあけぼのから始まる枕草子が大好きです。

清少納言は、日常から「をかし」な場面を切り取ります。
冬はつとめて(暖房も乏しく悴む早朝)を、をかしと思うなんて何て明るい豊かな心持ちなのでしょう。
更に、「をかし」の他にも「ありがたいもの」「過ぎたけれど恋しいもの」等、季節心情の一部を切り取り、各々挙げています。
「心ときめくもの」として、「訪ねてくる男性を待つ間、風の音がする度に心弾む」と。
今の女性と何ら変わらぬ可愛い恋心も描かれています。

ひろいあげる題目も好きですが私が感動するのは、清少納言と、その主人中宮定子が、悲運のなかでも常に明るく、「をかし」を楽しんでいたことです。

清少納言が仕えた中宮定子も、紫式部が仕えた藤原彰子も、ともに一条天皇の皇后でした。
先に定子が天皇のそばにあがりましたが、藤原道長に圧迫されて彰子が皇后となり、定子は乳母や近臣からも見捨てられ若くして亡くなります。

不如意なこと辛かったことも多かったはずですが、そうした影は「枕草子」には全く感じられません。
清少納言が書かなかったからという説もありますが、摂関政治の不穏な政争のなかでも、理知的で明るい定子のもとで、清少納言はのびやかに執筆を進められたのだと思います。
現在に至ってもその洞察力表現力から描くユーモアは秀逸です。

定子や清少納言の様に、訪れる不遇な境遇に不貞腐れず、自分の心の主人公は自分という芯をもって日常の「をかし」をみつけ、自分も周りの人も楽しめる人となれたらと思います。

枕草子の一節です。
よろづのことよりも、情けあるこそ、
男はさらなり、女もめでたくおぼゆれ
(我々は他人に幸福をわけ与えることにより、それと正比例して自分の幸福を増加させるのだ。)

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