UFJを劇的に復活させたこと等で知られ、日本有数のマーケッター集団「刀」を率いる森岡毅氏の出身はP&Gだ。

 その彼及び刀のメンバーが主催して、NEWS PICSの企画で10回前後のマーケティングの講義があった。当然、NEWS PICSの後援もあったろうが、受講料は1人60万円だ。

 しかしこの金額も実はあり得ないものだという。今回は特別に利益一切無視で取り組むという。つまり特別優秀なマーケッターの価値は無限大なのである。

 考えてみれば分かる。一部上場企業の優秀と言われる人達が100人で考えても解けない問題に解を見い出せる人なのだ。まずは優秀なマーケッターの市場価値を的確に把握したい。

今般問題になった方もP&Gで副社長を務められ、その後独立、吉野家では常務取締役として、メガ盛り、小盛りを導入、ライザップともタイアップした。私は、このメガ盛り、小盛りの発想には当時感嘆した。在庫リスクもオペレーションの負担も何もない。ただ盛り方を変えただけで、売上増を実現したのだ。

今回の問題を聞いた時に、正直最初は驚いたが、この人の講義を聞いていて、頭に残ったのがそこなのか、という思いも湧いてきた。学ぶところはなかったのか。

 はっきり言えば、ボランティア感覚で講義をした人が、一言問題発言を教室の中でしただけで、吉野家の常務取締役を解任され、アクセンチュアという有数のコンサルティング会社の顧問もクビになる。何かがおかしい。釣り合いが取れない。

この人は、ほとぼりが冷めればまた争奪戦になる人だろう。売上を伸ばす術を知っている人である。問題は、成功した企業人が大学や地方都市でライブで講義や講演をしてもらえる機会が大幅に減ることである。会社が許可しない例もあるだろう。この損失はしかし機会損失であり、目に見えないので実感はないのかもしれない。しかし看過できない問題になりうる。

ちいさなことでも、まずはお問い合わせください

  • パソコン画面を共有し資料を見ながらのご説明が可能です
  • 実際にお会いしている感覚でお話できます
  • 電話/メール/チャットもご利用いただけます